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もっと詳しいナマコの話

中国では北海道産の乾燥ナマコが
珍重されています。
(写真は乾燥ナマコ)

古来より伝わる天然パワー

医食同源を基礎として発展してきた中国料理において、
“ナマコ”は高麗人参と同じ薬用効果を持つことから
『海の高麗人参=海参(ハイシェン)』と呼ばれています。
“ナマコ”には滋養強壮、疲労回復、
美容にも効果があるとされていることから、
古くから漢方薬としても使用されていました。

古来より重宝されてきた“ナマコ”の見聞録

ほんぞうこうもくより抜粋

『ナマコは腎の精を補し、髄を益す。
痰とよだれを取り除き、小便を調整し、
血を生成し、人体の陽気を強壮する。
潰瘍の表面の虫毒を取る』

本草綱目

薬物方剤学の集大成とした五十ニ巻(1578年成/1596年刊)
中国の本草学史上において、分量、内容ともに最も充実した薬学著作

ずいそくきょいんしょくより抜粋

『ナマコは滋陰補血、壮陽、燥証滋潤、
月経調節、胎児滋養、生育順調と、
産後、病後、衰弱後、勃起不全による
不妊の全てに良い。
豚肉、羊肉、ハムと煮込んで食するのがよい』

随息居飲食譜

331種の食療効果がある材料を収録(1861年成)
養生と食療の両面で論述し多くの薬膳レシピを紹介

ほんぞうじゅうしんより抜粋

『ナマコは腎を補い、精を益し、
人体の陽気を強壮にし、
肢体の筋肉の弛緩、脱力を治療する』

本草従新

1757年、呉儀洛によって著され、清代に広く使用された臨床本草書
720種の生薬。分類方法は『本草綱目』に準じる
燕窩、冬虫夏草、太子参、党参、西洋参など現代の常用薬を記載

“ナマコ”に含まれる
アミノ酸の種類と機能

ナマコの栄養成分には、心と身体の疲労マネジメントを可能にする成分が多数含有

アミノ酸名 物質特性 効果・効能
必須アミノ酸 バリン 分岐鎖アミノ酸(BCAA)の一種、筋肉組織で代謝 タンパク質の合成、肝機能向上、運動中における筋肉消耗の低減
ロイシン 分岐鎖アミノ酸(BCAA)の一種、筋肉組織で代謝 タンパク質の合成、肝機能向上、筋肉強化、運動中における筋肉消耗の低減
イソロイシン 分岐鎖アミノ酸(BCAA)の一種、筋肉組織で代謝 疲労回復、筋肉強化、成長促進、肝機能向上、血管拡張、ストレス緩和、運動中における筋肉消耗の低減
リジン 通常の食生活において最も不足しやすいアミノ酸 生体の成長や修復、免疫力向上、肝機能向上、生体ホルモン・酵素の生成
ヒスチジン 特に乳幼児の成長に必須なアミノ酸 成長促進、ストレス緩和、抗肥満、慢性関節炎の緩和
フェニルアラニン 脳内で神経伝達物質に変化する重要なアミノ酸 精神安定、鎮痛作用、食欲抑制
メチオニン 脂質代謝に関与し肝機能の維持に重要 ヒスタミンの血中濃度低下作用。アレルギー抑制、抑うつ作用、発毛促進作用
トレオニン 穀類に含有が少なく、動物性タンパク質に多く含有 肝臓への脂肪蓄積を抑制、新陳代謝の促進、成長促進
トリプトファン 神経伝達物質“セロトニン”、“メラトニン”を体内生成する原料 安眠作用、精神安定、鎮静作用、エネルギーの一種“ナイアシン”を体内生成する原料
非必須アミノ酸 アルギニン 幼児期の成長に重要、体内の余分な”アンモニア”を除去 成長ホルモンの分泌促進、免疫力向上、脂肪代謝の促進、性機能改善、血行促進
アスパラギン酸 疲労の原因物質“乳酸”の分解を促進 疲労回復、免疫力向上、利尿作用、体内老廃物の排出作用
グリシン 皮膚コラーゲンを構成する主要アミノ酸、生体の睡眠へ作用 美肌効果、安眠作用、記憶力向上、血中コレステロールの低減
チロシン 神経伝達物質“アドレナリン”、“ノルアドレナリン”、“ドーパミン”を体内生成する原料 ストレス緩和、記憶力向上、集中力の向上
アラニン 生体エネルギーの合成に重要な役割 免疫力向上、糖質代謝の促進、肝機能向上
プロリン 生体コラーゲンの主要構成アミノ酸 コラーゲン合成の促進、美肌効果、慢性関節炎の緩和、脂肪代謝の促進
グルタミン酸 昆布のうまみ成分として調味料に広く使用 疲労回復、性機能改善、抑うつ作用、アルコール代謝の促進
シスチン 毛髪や体毛、爪に多く含有、メラニン色素の生成を抑制 抗酸化作用、創傷治癒作用、美白効果
ヒドロキシプロリン 生成コラーゲンの合成促進 角質層保湿作用、皮膚の細胞活性、美肌効果

参照:「アミノ酸ハンドブック」/味の素株式会社 編、「アミノバイブル」/三水社 編(著者:神谷 俊一)、「アミノ酸の科学」/講談社 編(著者:櫻庭 雅文)、「健康食品」の安全性・有効情報データベース/(国立健康・栄養研究所)

アミノ酸桶理論

私たちの体の筋肉・臓器・皮膚・毛髪・血液などの大部分を構成しているのがたんぱく質です。
その大切な役割を担っているたんぱく質を構成しているのは、わずか20種類のアミノ酸なのです。

そのアミノ酸のうち、必須アミノ酸と呼ばれる9種類は体内で必要量を合成することができず、食事などから摂る必要があります。必須アミノ酸はさまざまな食品に含まれていて、チームワークを組んでたんぱく質を生成します。9種のどれかひとつでも必要量に満たないものがあると一番少ないアミノ酸量と同じ量のたんぱく質しか生成できず、せっかく摂取したその他のアミノ酸は残念なことにムダになってしまいます。

下記の図は、それを分かりやすく「桶」に例えた「桶の理論」と呼ばれるものです。
この図が示すように、アミノ酸をバランスよく摂取することは、とても重要になってきます。

アミノ酸桶理論